2015/05/12 | Tweet |
チームクルー4名が塙選手のファクトリーに集結
FJクルーザーを塙選手のファクトリーに搬入してから約1ヵ月。その間、氏はスモーキンホイールズ出場のためグアムに渡航していたのにもかかわらず、ものすごいスピードでモディファイが進められていた。
「メインロールケージも完成したし、そろそろ足回りの仕様を決定しましょう」という塙選手の呼びかけでこの日に集まったメンバーは、ドライバーの塙選手、コ・ドライバーのJAOS赤星、そして全日本ラリーなどで活躍中の「TEAM CERAM(EVOLiSTA)」の小林氏(今回メカニックを担当)、JAOS「BATTLEZダンパー」を担当するKYBの田中氏(AXCR2015にも同行)の4人。ラリー当日はメカニックとして北海道から4WDサービス パドックの能戸(知徳)氏も参加を予定しているが、能戸氏以外のチームクルー全員が初めて集まったことになる。簡単な挨拶と近況報告を終えて、いよいよ本題に。今日は現状のマシン製作確認や今後のスケジュールの打ち合わせ等、話し合う内容は多いのだが、一番の目的は足回りの仕様を決定させることなのだ。
FJクルーザーの進捗状況を確認
マシン製作の一番の山場となるロールケージはほぼ完成。FIA(国際自動車連盟)の規定に合わせて車内に張り巡らせたロールケージは塙選手独自の理念のもとに設計し、自ら造り上げたもの。万が一の際、大きな衝撃を受けても乗員の命を守ることができるよう考えられた造りなのだ。
すでに工具等の小物を入れるツールボックスはラゲッジスペースに設置されていた。ミーティング中にちょうど有限会社トレイル様からポータブルウインチ「WARN TABOR 8K」が届いたので、スペアタイヤの設置場所やフロアジャッキ、ウインチなどの積載場所のシミュレーションを敢行。スタックした時には素早くラゲッジから「WARN TABOR 8K」を取り出し、前後に設置されたヒッチメンバーに装着してウインチングできる仕組みだ。
基本的にエンジン関係には一切手を入れない予定だが、排気系と駆動系(前後のディファレンシャルギア)にはチューニングを施す予定だ。フロントパイプは4WDサービス パドック製「POS等長フロントパイプ」を採用し、それ以降はワンオフ製作。当初、デモカーに装着されていた「BATTLEZ×EX type TF-4」の4本出しスタイルを継承することも検討したが、スタック時にエアジャッキが使用できるよう右側1本出しへと変更。テールエンドのみJAOSのオーバルテールを採用している。ミーティング時にはすでに取付けまで終わっていた。
駆動系のチューニングはこれから行う予定だが、前後にLSDを搭載する以外にエンジンのパワーアップを行わない分、ファイナルギアのダウン化を行い、AXCRで使用する低速~中速域で無駄なくエンジンのパワーを使うという案が浮上。これについては後日、具体的な方法について調べてから動き出すことになった。また、この日にJAOSから持ち込んだフロントガードとATガードのフィッティングも行い無事に問題ない事が確認できた。
足回りは市販予定の別タンク式ショックがメイン
AXCR2015への参戦を決めた時、一番最初に装着を決めたパーツがじつはショックアブソーバーだ。この時、AXCR出場した「FLEX SHOW AIKAWA Racing」のプラド150やFJクルーザーに装着されていた別タンク式のBATTLEZラリーショック(KYB製)をベースに市販用にアレンジしたプレミアムモデル「BATTLEZ×SUS type VFR」(今夏発売予定)の開発を行っていたのだ。そんなことも関係してエントリーマシンがFJクルーザーになったというのはちょっとした裏話なのかもしれない。
スムーズにマシンとショックが決まり、となれば当然コイルはBATTLEZのコイル(ニッパツ製)とスムーズに足回りの大まかな仕様が決定した。
もちろんこのままでも問題はないのだが、市販用の「BATTLEZ×SUS type VFR」はラリーショックベースとはいえ、一般ユーザーが使用することを目的にチューニングした仕様だ。数日間におよぶ過酷な路面状況とハードな走行を考えると「この足回りにもう1本、各所に補助用のショックを追加し、ラリーに出るからには最善を尽くしたい」という塙選手。ステアリングを握るプロドライバーなら当然のリクエストだろう。チームとしても、かなりのハードな走行も想定した上でその分のマージンを取っておきたいと考え、補助ショックの導入を決めた。
その場でFJクルーザーのタイヤを外し、塙選手とKYB・田中氏による見解のもと、取付け方法やスペースを決めて採寸を行った所で今回のミーティングは終了。みるみるうちにJAOS FJクルーザーが「デモカー」から「ラリーマシン」に変わっていくが、駆動系や足回りの組み込みカラーリング、シェイクダウンなど予定している作業はまだまだ残っている。マシンのシッピングまであと約2ヵ月。残された時間はそう長くなはないのだ。