2015/06/19 | Tweet |
ボディ全面を特殊フィルムでラッピング
気になるJAOS FJクルーザー AXCR2015仕様のマシンデザインだが、「JAOSのデモカーを使ってラリーに出場しました」ということを分かりやすく表現するために、デモカーのデザインのまま必要なステッカーを貼った状態で出場することが検討された。しかし、およそ30社のスポンサー様のステッカーに加え、AXCR指定のカーナンバーやステッカーを貼るとまったくその面影がなくなってしまうため、デモカーとは全く異なるボディグラフィックとすることに決定。そのために選んだ方法がカーラッピングだ。
ここ数年、自動車カスタマイズ業界でもすっかり浸透したカーラッピングは、塗装では表現しにくいカラーや質感のフィルムがあったり、オリジナルの柄などをプリントして貼ることも可能なため、レース業界でもオンロード系のマシンを中心に広く採用されている手法。また、フィルムを剥がしてしまえばノーマルボディの状態に戻せるため、シーズンごとに着せ替え感覚で気軽にボディデザインを大幅にチェンジすることも可能なのだ。各フィルムメーカーからはマット系やキャンディ系、へライン調、カーボン調、メッキ系など・・・ 多種多様な特殊フィルムがリリースされており、これらを組み合わせることによって、クルマを唯一無二のオリジナルデザインに仕上げることができる。
高度なラッピング技術と最新フィルムのコラボレーション
JAOS FJクルーザーのラッピングをお願いしたのは、P.G.D様(静岡県)だ。同社は各企業のPRカーやショーカー、レースマシンなどのラッピング技術で定評がある。また、WRAP-TECH(ラップテック)という高度なラッピング技術をもつ有志を集めたプロ集団の一員でもある大塚氏や戸井氏が在籍しているショップだ。早速JAOS FJクルーザーのデザイン案を手に大塚氏に相談したところ、AVERY DENNISON(エイブリィ・デニソン)のマットメタリック系フィルムがイメージにピッタリだというアドバイスをいただきエイブリィ・デニソン・ジャパン様のサポートを受けてJAOS FJクルーザーに採用することになったのだ。実際にフィルムのサンプル集を手にすると予想以上に魅力的なカラーのフィルムが揃っていて思わず頭の中で、当初の予定になかったまったく異なるカラーリングも想像してしまったが、当初の通りマットメタリック系のフィルムから、ボディ全体をナイトブルーマットメタリック、そしてボディラインにはフロスティブルーマットメタリックをチョイス。さらに差し色にブラッシュドブロンズと、3種のフィルムを使ってラッピングを行うことに決定した。最新のフィルムと高度なラッピング技術によってJAOS FJクルーザーは塙選手が造り上げたマシンに相応しいエクステリアを手にいれることが実現することになる。
JAOSにラッピングチームが来社して作業開始
6月17日、P.D.Gからは大塚氏と戸井氏、そしてWRAP-TECHのメンバーでもあるクリスタルカーズ(神奈川県)の代表・志村氏の3名が大量のフィルムと機材を持ってJAOSに来社。カーラッピングは施工時の環境もシビアで雨風が入らない屋内であることはもちろん、温度管理や明るさのほかに、ホコリや虫などが混入しないことなどが条件となるため、基本は設備の整った場所にクルマ入庫して施工するのがっセオリーなのだが、今回は時間がないためJAOSのファクトリー内にて作業していただき、スポンサーステッカーまでのすべてを3日間で貼る予定だ。
1日目はボディ全面の作業がメイン。次々とベース色となるナイトブルーマットメタリックのフィルムが、ルーフ、ボンネットの順に貼られていく。午後からはボディサイドの作業に入りフロスティブルーマットメタリックのラインをマスキングテープで決めて、フィルムを手作業でカットして貼っていく。とてもスピーディかつ美しい仕上がりはまさに職人技だ。
細かなパーツとスポンサーステッカーを貼って完成
1日目にほぼボディ全面のラッピング作業を終えて2日目と3日目は外したパーツを中心に細かな部分を1つ1つ貼っていく作業となる。ドアノブやバックドアのヒンジ、各所にあるガーニッシュやカバー類に加え、JAOSのオリジナルパーツであるフロントスポーツカウルやオーバーフェンダー、ボンネットガーニッシュ、ルーフスポイラーなど・・・。これらのパーツは曲面や複雑な形状のモノが多く、それを塗装と区別がつなかいほどキレイにラッピングするのには、時間と根気はもちろんのこと、経験豊富な職人たちの技術が必要不可欠なのである。馴れた手つきで次々を作業を行うその様子はまさにクリエイターが芸術作品を造っているかのよう。一部始終の作業を見て、改めてラッピングとはクリエイティブなセンスと熟練した特殊技術、そして一切の妥協を許さない強い信念が必要なのだと感じた。最後にはJAOSで用意したスポンサー様約30社のステッカーをていねいに貼っていただき、見事にJAOS FJクルーザーがデモカーからラリーマシンへと変貌を遂げた。まだ一部のステッカーを貼り残しているが7月13日のシッピングまでにすべてが完了する予定だ。
翌日はいよいよ宮城にFJクルーザーを運び、TEAM JAOSのメンバーとミーティングを行う。そして6月21日はスポーツランドSUGOのモトクロスコースで開催される宮城トヨタ様主催の4駆祭りの会場で、ラッピング後初の一般お披露目を兼ねたデモストレーション走行とシェイクダウンを行う予定。マシンの全貌は次回のレポートで公開予定だ。
エイブリィ・デニソン・ジャパン http://www.averydennison.jp/
P.G.D http://pgd-wraps.com/
WRAP-TECH http://www.wrap-tech.net/