2015/07/13 | Tweet |
ラリーは準備が8割、本番は2割!?
“9:00 横浜港 シッピング” 以前のレポートで筆者のスケジュール帳の話をしたが、7月13日のページには赤ペンで目立つように書かれている。
そう7月13日はラリーの最初の難関ともいえるシッピング(マシンと荷物の船積み)なのだ。つまりこの日までに参戦マシンであるFJクルーザーのモディファイや整備・調整を終えて、さらにはスペアパーツの数々、そして現地で使用する工具や備品、消耗品関連をひとまとめにして、所定の場所に持ち込まなければならない。逆にこれを乗り越えてしまえば、手荷物ひとつで飛行機に乗ってスタート地点であるチェンマイに行けば良いわけだ。
誰が最初に言ったのか定かではないのだが、ラリー経験のある諸先輩方は皆、口をそろえてこういう。
「ラリーは準備が8割、本番は2割だ」
ここでいう“準備”というのはシッピングまでのすべての工程だと筆者は解釈している。しかし、先ほども触れたように必要な準備がとても多く、これらをクリアして7月13日のシッピングを行うことがAXCR2105参戦と同時に決められた“次なる目標”なのである。
FJクルーザーの準備は順調! 苦戦したスペアパーツ&サービス用品
参戦マシンとなるFJクルーザーのほうは塙選手を筆頭に、計画的に進められて若干の余裕を残して準備を終えた。流石といったら失礼かもしれないが、塙選手の計画的かつ正確な作業にはとても安心感がある。
その一方で少し苦戦したのが、JAOSで用意するサービス用品&スペアパーツだ。6月20日の打ち合わせまで身動きとれなかったため、とりかかるのが遅かったというのも原因ではあるが、じつはJAOSでこれらの準備をするのは初めてのこと。約10年前に参戦しているとはいえ、サービス用品やスペアパーツの準備はJAOSで行っておらず、つまり今回は何もノウハウがないに等しい状況なのだ・・・
スペアパーツ関連は塙選手やラリー経験豊富なメカニック3名(エボリスタ・小林氏、KYB・田中氏、パドック・能戸氏)からリクエストがあったパーツをベースに整理を行い、群馬トヨタ様のご協力のもとスムーズにそろえることができたのだが、一番の難関となったのが筆者が担当した備品&消耗品類だ。いわゆるメカニックが使用する工具や消耗品、サービス時に設営する照明やテント、シートなどの大物から、軍手やテープ類、電源コードなどの細かなものを指す。
これらはチーム内外のラリー経験者から情報収集することから始まり、優先順位の高いものからリストアップ。工具やサービス用品に関しては携帯性や現地の環境(電源の有無や天候)考慮したうえで、実際に使用するメカニックスタッフの意見を聞き、妥当なものを量販店やインターネットで探す。ホームセンターに何度も足を運んで一つづつ調達してリストを埋めていく・・・ といった具合だ。さらにすべてをすぐ使えるように分類したり、余計な梱包を省いたりしてから、種類別にまとめていくのだ。馴れた方はラリーのスタート数日前に現地入りして、調達するものが多いそうだが、初めてに近い我々にとっては、馴れない現地でバタバタ探すよりも、事前に用意できるものはしておいたほうが何かと安心なのである。
装備品リストや仕分けも重要
船積みする荷物はカルネが必要となるため、基本的には積み込む荷物すべての詳細なリストが必要だ。マシンについても細かく積載品をリスト化しておくのである。また、現地でサービスに関わるすべてのスタッフが“どこに何が何個あるのか”が一目で分かるように小物は種類別にBOXにまとめ、各BOXのフタに何が入っているかを記しておくと良いのだそう。
基本は野外での夜間作業そして、スコールなども予想されるという中で、メカニックスタッフがいかに快適にストレスを最小限にして作業に専念できるか。その環境を造るのが自分の役目だと言い聞かせ、現地の様子を想像しながら準備を進める日々が続いた。初めてのこととはいえ、要領を得ない自分に苛立ったこともあったが、親身になってアドバイスをいただいた多くの方々のおかげで、完璧には遠く及ばないものの何とかシッピング前日の7月12日には終わらすことができて、ホッとしたというのが本音である。
FJクルーザーを無事にコンテナへ
7月13日のAM4:00、FJクルーザーを積んだ積載車と小型トラックの2台でJAOSを出発し、神奈川県横浜市某所へ運び込んだ。現地に着くとすでに多くのラリーカーやバイクが船積みを待っていた。我々が作業を始めていると、ちょうど篠塚健次郎選手がステアリングを握るジムニー(JB43W)を積みにコ・ドライバーの千葉氏がやってきた。続いて中央自動車大学校にて造り上げたパジェロ エボリューションで参加する浅井道浩選手にも遭遇。じつはこのパジェロ エボリューション、数週間前にJAOSのファクトリーに入庫し、アンダーガードの製作を行っている。そのため浅井選手にJAOSのフロントスキッドプレートを模したスタッカーを貼っていただいた。このマシンはタイに着いてからボディグラフィックを施すとのことで、スタート時にはどんなエクステリアになっているのかとても楽しみだ。
こうして“ラリーの8割”を無事に終えたTEAM JAOS。残すは本番までわずかな準備と体調管理だけだ。8月8日チェンマイでのスタートセレモニーが待ち遠しい。