2015/08/11 | Tweet |
2015.08.11
LEG3 Mae Sot to Sukhothai
チェンマイからスタートしたラリーはミャンマーとの国境を辿るように南下し、山岳路メインのLEG1とLEG2を終えて迎えた3日目。早いものでアジアクロスカントリーラリー2015(AXCR2015)の中間地点に突入する。ドライバーとナビの呼吸、サポートスタッフを含む全体のチームワークもまとまってきているし、LEG2までの順位は予定よりも好成績だ。とはいえ、まだラリーの3分の1を終えたばかり、程よい緊張感の中、LEG2の結果を受けてAUTO部門で4番目という絶好の位置でスタートする。実はこのスタート位置が重要で、わずか2分間隔で出走するとはいえAXCRの場合、スタート位置が後ろのほうになってしまうと、路面が痛んでしまう上に、細い道が多いため前車がスタックしてしまうと、追い抜くことができずにラリーカーの渋滞に巻き込まれることも珍しくない。だから勝つためには5番手以内でスタートするのが理想的なのである。
LEG3はメーソートをスタートし、タイ北部の南端に位置する古都スコータイを目指すSS181.35㎞、リエゾン189.5㎞のトータル約363㎞というコース。LEG1~LEG2よりも走行距離は短くダート区間を含むアップダウンの少ないコースだが、コマ図にはジャングルの中を数百メートルから数十メートル単位にポイントが設けられてていている。ドライバーへの負担が大きかったLEG1~LEG2に対して、今度はナビへの負担が多い一日。TEAM JAOSにとって一番辛い日であり、AXCRならではの“洗礼”を受けた一日となった。
サービスチームはホテルでFJクルーザーのスタートを見届けたあと、SSの約100㎞地点にあるリモートサービスエリアに直行。ここでは後半のSSに備えて給油をする予定となっている。道路沿いの目立つ場所をキープし、JAOSのバナーを掲げてドライバーがすぐに分かるようにスタンバイしていたが、いくら待ってもFJクルーザーがやってこない。それどころか、他のラリーカーの姿も見かけないのである。炎天下の中、FJクルーザーが走って来るであろう道路の先端を見つめ続けて、どのくらい待っただろうか。ようやくトップの#101 Nuttapon選手のクルマがやってきた。遅れること約30分、#110 篠塚選手がドライブするジムニーが道路の先に見えた。SSの中の様子が全く分からないサービスチームもその異変にすぐ気付かないわけがない。本来ならばトップグループが続々と走ってくるはず。しかもスムーズに走っていれば我々のFJクルーザーもやってくるはずだ。なのに7番手でスタートした#110 篠塚選手が時間を空けて2番手でリモートサービス入り。“明らかにSSの中で何かが起きている” 一瞬、最悪の事態が頭を過ったが、FJクルーザーが無事にやってくることを祈りながら待っていると、トップと約2時間20分遅れでやってきた。大きなクルマのダメージもなく、ドライバーもナビも無事だ。とても分かりにくいルートで、10台~15台くらいのラリーカーがミスコースをして、自車位置をロスト。集団で迷子になってしまったとのことだった。給油を済ませたFJクルーザーは素早くリモートサービスエリアを飛び出していった。
ドライバー、ナビ、クルマ共に無事でホッとした反面、この時間のロスは大きいがこれがAXCRなのだ。サービスチームは次の合流先であるスコータイのホテルへと向かう予定だったが、オーバービューを観ると、後半のSS11㎞地点で走行するシーンを観ることができるポイントを発見。先回りして待っていたら続々とラリーカーがやってきて、ジャングルの奥からガソリン車ならではの甲高いエキゾーストノートが聴こえてくる。カメラを構えていると、すぐに快調に走っているFJクルーザーが通過していった。実はサービスクルーがFJクルーザーのSS走行シーンを観るのはこれが初めてのこと。自分たちがサポートしているクルマがカッコ良く走っている姿を実際に観ると、ドライバーたちと少しだけ空気を共有できた気がして嬉しいものだ。
後半のSS残り65.75㎞は、前半の遅れを少しでも取り戻そうとペースを上げて走り、何台か追い抜いて順位を上げ、SS3をフィニッシュ。前半と後半を合わせたタイムは合計で約6時間10分。マキシマムタイムは6時間だったため、ペナルティとして8時間のカウントとなってしまったため、LEG3は15位となった。この日は我々と同じようにマキシマムタイムをオーバーするクルマが多く、6時間以内で走行できたクルマはわずか10台と、AXCR2015で一番の難関となった。
Driver's Voice 塙選手
昨日まではアップダウンの激しい山岳路でしたが、今日は打って変わってジャングルの中の獣道を縫って走るようなコースでした。とにかく道が狭くて、FJクルーザーの車幅ではどうしても両サイドを擦りながら走らなければならないような感じでした。でも最初はとても調子よく、今日はマイペースで行こうと決めていたのに前の2台を追い抜き総合2位の位置で走っていました。ところが約80㎞地点で、ジャングルの密林のような樹と樹の間を走るルートになってきたところで、周りのクルマみんなでミスコースしロスト。迷宮に入ったようにグルグルと走り続けてルートを探しました。長い時間迷っていたのでガス決の心配もしていました。とにかくナビにとっては辛いコースだったと思います。
毎日メカニックがクルマをキレイに直してくれるのに、ジャングルを抜ける為にボディを痛めざる得なかったことが本当に悲しい。まだ後半残っているし、クルマのほうはサスペンションもタイヤもすべて調子がイイ。順位的には初日と同じ様な位置なので、気を取り直して走ろうと思います。
Co-Driver's Voice 赤星選手
とにかくつらい一日でした。ミスコースするまではできすぎているくらい順調で総合2位の位置で走っていたのですが、前日に心配していた通り、80㎞くらいでミスコース、ラリーカーが10台くらいグルグルしながらルートを探し始めました。遭難の心配もあったので、周りのクルマと一緒に走り、なんとかアローを見つけてルートに戻ることができました。マキシマムタイムを約10分オーバーしてしまいました。トップグル―プとは大きなタイム差が出てしまったのは痛いですが、まだ前半が終わったばかりですし、塙選手はとても速く素晴らしいドライビングです。少しづつ追い上げていきたいと思います。今日のコース「あ~、これがアジアクロスカントリーだよな」と10年前に参戦したときに事を思い出しました。
Service
・洗車
・車内清掃
・インカム電池交換
・左リヤフェンダー&オーバーフェンダー補修
・左テールランプ補修
・ブレーキパッド交換
・ブレーキエア抜き
・ガラコ、ウォッシャー液補充
・足回り増し締め
Provisional Result LEG3
総合(AUTO) 13位
T1Gクラス 2位
Provisional Overall LEG1-3
総合(AUTO) 8位
T1Gクラス 2位
Sukhothai
スコータイは1238年にタイ族による最初の王朝が開かれた。「幸福の夜明け」という意味の名前が示す通り、三代目ラームカムヘーン大王時代には「美しい国ぞ、水に魚棲み、田に稲穂実る」と当時の碑文が謳われた黄金期を迎え、仏教思想が花開き多くの寺院を建造。タイの文化芸術の古典様式が生れ、タイの文字や文学が生み出されるなど現在のタイの礎を築きあげた。スコータイ以前の遺跡を含め、黄金期の栄華を偲ばせる荘厳で美しい遺跡群は世界遺産にも登録されている。