2015/08/12 | Tweet |
2015.08.12
LEG4 Sukhothai to Phrae
TEAM JAOSにとってだけではなく多くのエントラントにとって悪夢のような日となったLEG3から一夜明けた4日目朝。ホテルのロビーは難関を乗り越えたという達成感とラリー後半に向けた熱気に包まれた独特の雰囲気だ。とはいえ、あちらこちらから笑い声が聴こえてくる。チームや国籍の枠を超えエントラント同士が積極的に情報交換や助け合いをしてみんなでラリーを楽しむのがAXCR流。そういったアットホームな雰囲気に魅力を感じて毎年参加しているエントラントも多いのだ。
AXCR2015後半戦の幕開けとなるLEG4はスコータイをスタートして北上。南に向かって流れるヨム川に沿って広がるプレーの県庁所在地を目指す。SS243.74㎞+リエゾン268.32㎞、合計約512㎞という長丁場だ。これまでFJクルーザーはトラブルと言うほどのトラブルはなかったのだが、この日のSS中にまさかのトラブル発生。AXCR2015の過酷さを思い知らされた日となった。
TEAM JAOSは前日のタイムロスによりこの日は15番目にスコータイのホテルをスタートする。いつものようにホテルでのスタートを見届けた後、サービスチームもSS中間地点にあるリモートサービスエリアを目指してスタート。まずは郊外に出る前にホテル付近のコンビニエンスストア(タイにはセブンイレブンが沢山ある)で、クーラーBOXに入れる氷や飲料水、ガソリンスタンドでサービスカーの給油を済ませる。これがスタート直後の日課だ。
ここで少しタイのガソリン事情について紹介しよう。サービスカーのハイエース200系はディーゼル車で、軽油が約36Lで850バーツ(約3000円)ほど。ガソリンスタンドには1Lあたり24バーツ前後(約84円)と表記されている。ちなみにラリー中のFJクルーザーには日本でいうハイオクを使用したが、タイではเบนซิน95(ベンジン95)と表記され、1Lあたり29バーツ(約102円)ほどだった。タイの飲食などに関する物価が日本の1/4~1/2と考えると燃料は高価だと感じる。また、タイではディーゼル車の比率が高く、四駆やピックアップはほとんどがディーゼル車だ。そのため、何も言わずにガソリン車のラリーカーでガソリンスタンドに入ると誤って軽油を入れられてしまうこともあるらしく、FJクルーザーの給油口には大きく目立つようにเบนซิน95と表記している。また、1バーツ以下の少額硬貨(50サタンと25サタンがあるが筆者は使う機会がなかった)使いにくいようで、燃料などの量り売の場合は、満タンや○○Lではなく、キリの良い金額で合わせるのが一般的のようだ。(だいたい頼まないでも勝手に合わせてくれる)
※燃料の価格は地域や店舗によって異なります
4日目ともなれば給油も買い物もスムーズだ。ガソリンスタンドとセブンイレブンが隣接されている場所を選べば、スタッフが手分けをして短時間で済ませることができる。各SSのオーバービューは前日夜にHQの掲示板に張り出されるのだが、サービスチームがリモートサービスエリアに向かうまでに通るリエゾン(115号線)とSSの16.01㎞地点が重なるのが分かる。(上の画像SS4/1参照)
そこで、筆者はこの場所でサービスカーを降りてSS走行中のFJクルーザーの写真を撮りにいくことにした。時計を見るとラリーカーはSSをスタートしている時間だ。SSの中を急いで入っていくと、大きな水たまり(ちょっとした池のような)をラリーカーが水しぶきをあげて豪快に走ってくるポイントに到着。カメラを構えて待っていると明らかに他車とは違うスピードレンジで走ってくるFJクルーザーの姿を捉えることができた。また、自分の目の前を通過するラリーカーの数をカウントして、今日も快調に走っていることを再確認した。
その間、他のサービスクルーはリモートサービスで待機して、PCストップ後のFJクルーザーの給油や窓拭き等の簡単なサービスを行った後、筆者と合流して今夜の宿泊先となるプレーのホテルに向かった。
ところが移動中、筆者のiphoneにラリー関係者から一通のメッセージが入った。
「“バッテリーが無い、電装系ダウン”と塙選手が話してましたよ」
一瞬なんの事か理解できなかったが、どうやら度重なる川渡り等でオルタネータ―が故障してしまい、発電できなくなってしまったようだ。もちろんスペアはサービストラックに積んであるのでプレーのホテルに到着しているはずだが、ガソリン車の場合、バッテリーが無くなってしまうと走ることができない。つまり、バッテリーに残っている電気のみでSSのゴールまで辿り着くことができなければクルマが止まってしまうのである。
そんな心配をしながら、すぐに修理ができるようにサービスカーはそのままプレーに向かい、新しいバッテリーの調達や今夜の整備&オルタネーター交換の準備をすることにした。途中、無事にSSをゴールしたという連絡が入り、なんとかリエゾンも走り抜ける目途がたったということを確認できた。
万全の態勢でホテルのサービスエリアで待っていると、泥だらけのFJクルーザーが戻ってきた。塙選手とJAOS・赤星から、すぐにマシンの状況をヒヤリング。症状はオルタ―ネータの故障とATの動作不具合、ATチェックランプ点灯など・・・ オルタ―ネータ―の故障が原因と思われるものがメインだ。そのほか、ブレーキローターの交換や左リヤフェンダー周りの修復など、サービスチームにとってはAXCR2015で一番長い夜となった。
Driver's Voice 塙選手
昨日のストレスが溜まるコースと打って変わって、ティンバーロードと言えば良いんでしょうか、道幅がちゃんとあってハイスピードで走れる気持ちいい道でした。クロスカントリーラリーらしい道だなと思いながら、クルマも調子良かったしイケイケで走ってPCまで行ったんです。ところが後半スタート直後に、ATがマニュアル操作ができなくなり勝手に変速してしまうという現象が起きました。エンジンブレーキも使えなくなるのでブレーキに負担がかかるし、困ったなと思いながら走っていたら、バッテリーが充電されていないことに気づきました。咄嗟にオルタネーターが故障したんだと判断し、ガソリン車はバッテリーがないと走れないので、ゴールまで残りのバッテリーで行けるかヒヤヒヤ・・・ そこから節電に専念して、ヘッドライトを消して、クーラーをOFFに。雨が降ってもワイパーを動かすことも我慢しました。最後、ミスコースしてグルグル走っていたときは本当にドキドキしましたが、何とかSSをゴールすることができました。リエゾンは他のチームと助け合いながら移動しホテルまで無事に到着することができました。今回のトラブルで120㎞くらいはバッテリーだけで走れることが分かった! だから今度オルタネーターが逝った時はヒヤヒヤしないで済みますね(笑)
Co-Driver's Voice 赤星選手
昨日のLEG3は苦戦を強いられて夜は気が重かったんですが、今日の朝には気持ちを切り替えてLEG4に挑みました。LEG3でのロスを最小限にできるように追い上げようと思い、前半はとても良いペースで走れました。コマ図のポイントが細かかったので、ハイペースの塙選手に読み上げが追いつかないこともありましたが、順調で、総合9位くらいの位置まで追い上げることができましたが、後半のSSでクルマの異常(オルタネーターの故障)に気づきました。ほぼノーマルの車両なので色んな意味でクルマには負荷ががかかっているので、セーブしながら走りました。最後の最後でミスコースしてしまい、ルートを探すためにグルグル走り回ることがありました。同じように迷うクルマが多く、轍がたくさんできていました。でも、時間をかけずにオンルートに戻ることができました。昨日とくらべ、ナビとしては負担の少ない日でした。どちらかというと塙選手がフラストレーションを感じて走っていたと思います。オルタネーターがダメになって電装系がダウンしたとき、バックアップで回していたトリップメーターも電源が落ちてしまいましたが、メインはiPadでDX500RARRYを使用していたので、バッテリー駆動で困ることはなかったです。
Service
・洗車
・車内清掃
・ウォッシャー液補充&ガラコ
・インカム電池交換
・FRブレーキローター&パッド交換
・ブレーキエア抜き
・足回り増し締め
・ATチェックランプ原因解析・解決
・オルタネーター交換
・バッテリー交換
・左リヤフェンダー&オーバーフェンダー補修
Provisional Result LEG4
総合(AUTO) 6位
T1Gクラス 1位
Provisional Overall LEG1-4
総合(AUTO) 8位
T1Gクラス 2位
Phrae
プレーの街は崩れかけた城壁に囲まれた旧市街地とその東側に広がる新市街地からなる。旧市街地には観光名所となる寺院が点在し、旧市街地と新市街地の境にある門(プラトゥー・チャイ)は広場になっていて、夜になるとたくさんの屋台がでる。鉄道がなくチェンマイからバスで約4時間、バンコクからは約11時間とアクセスが悪いが、チーク造りの家々や歴史ある寺院が並び、時間がゆっくり過ぎていく雰囲気はタイ北部の城市の空気感を味わえる街だ。