2015/08/13 | Tweet |
2015.08.13
LEG5 Phrae to Phrae
オルタネーターの故障やATのエラーで深夜までかかったサービス作業を終えて、完全に復活したFJクルーザーが朝日に照らされる姿を見ていると、とても頼もしく見える。クルマから“今日もイイ走りをするぞ”という声が聴こえてきそうだ。
LEG1~LEG6までの6日間で行われるAXCR2015は今日で5日目を迎える。最終日のLEG6はショートSSとなり、夕方にはゴールセレモニーが開催されるため、実際にはLEG5が丸一日アタックできる最後のチャンスとなる。いよいよAXCR2015の最終章に突入だ。
ところが、当初予定されていた後半のSSが安全上の理由でキャンセルとなってしまい、本来ならば約136㎞のSSがあったところ、89.62㎞のみとなってしまい、追い上げを狙うTEAM JAOSにとっては好条件とは言えないステージとなった。この日はAXCR2015の唯一の連泊で宿泊地のホテルであるNakhon Phrae Hotelを基点にしたループコースとなる。
LEG4ではオルタネーターのトラブルがあったものの総合6位でフィニッシュできたため、6番目にスタートする。サービスチームは通常ならばいつものようにFJクルーザーのホテルスタートを見届けた後に、リモートサービスエリアまで移動するのだが、後半のSSがキャンセルとなったため、何もなければ移動の必要はない。SS中にトラブルが起こった場合に備えて、SSのゴール(今日の場合はPCストップのポイント)に先回りしてスタンバイしておくのが一般的だろう。
しかし、サポートクルーにはスタート時から“一度はチーム全員でSSのスタートとゴールの空気感を共有したい”という想いがあった。残りの予定を確認するとSSのゴールは翌日(LEG6)立ち会うチャンスがあるので、スタートを見るチャンスがあるとすればこの日が最後となる。塙選手の「大丈夫だよ。クルマ壊さないからSSのスタートを観においで」という言葉に甘えて、SSのスタートに初めて立ち会うプランに決定した。ところが、SSのスタートまでは67.6㎞ある。FJクルーザーより後にサービスカーでホテルを出発してのでは、到着が遅れてしまいスタートを見逃す可能性が高い。そこでFJクルーザーより先にホテルを出発してSSのスタートに向った。
SS5のスタート地はとても小さな村から山間部に入る林道の入り口のような場所だった。村の中心地と思われる広場には村人たちが集まり、ラリーカーが来るのを待っていた。SSの中にもスタートの何十分も前から子供たちや若者が待ち構えていて、ギャラリーがいっぱいの華やかなSSのスタートとなった。 筆者は撮影のために数百メートルSSの中を歩いたが、コースは水分をたっぷりと含んだ泥で、歩くのも困難なグチョグチョの状態。6月にスポーツランドSUGOのモトクロス場で行ったシェイクダウンの時を思い出させるコンディションだ。さらにそのすぐ先には深い川がある模様。「今日のステージも荒れるな」と誰もが感じる状況なのだった。サービスチームはFJクルーザーの無事を祈ってスタート地を後にし、ホテルでスタンバイすることにした。
思っていたより早くホテルにFJクルーザーが帰ってきた。FJクルーザーの観音ドアを外側から開けると塙選手も赤星選手も上機嫌で笑顔が絶えない。「今日は一番イイ日になったんだな」と確信した。とはいえ、予想以上に難易度の高いコースだったらしく、アップダウンの激しく、クリークだらけ、トウモロコシ畑あり、ナビ泣かせのポイントあり・・・ AXCRならではの過酷なステージだったとのこと。そんな中、FJクルーザーはなんとこの日3番目のタイムでSSをゴールし表彰を受けることができた。
Driver's Voice 塙選手
決して気持ちよく走れるコースではなかったけど、クルマは昨日のトラブルがすべて解決されて完調! ナビもほぼノーミスといっといいほどで、パーフェクトでした。
とにかく路面はウェットで下手すると滑るし、スタックするようなコンディション。前のクルマが1台ズボってハマったら止まってしまうような場所が多かったです。そして川が多かった。1ヶ所本当にヤバイと思った場所がありました。
出たら右って言われたんだけど、侵入時には出口が全く見えなくて、ステアリングを右に切って進むとザブンと入ってしまって思ったより深かった。その時点で腰ぐらいまであったんだけど一車身ぐらい行くとズボズボとより深くなって肩ぐらいまでに。「出口が無い~!!」ってなってバックに入れて戻って、左に進んで出ることができた。あの時は本当にヒヤヒヤしました。
一ヵ所、本当に不安になる道があって、途中でこれはオカシイだろって思って「本当にココ?」って聞いたら、ナビの赤星選手が「大丈夫です! こっちです!!」って言うんです。竹や倒木があってかろうじてFJクルーザーのボンネットを超えるくらいの高さで倒れてるんですね。ゆっくり擦りながら通過・・・。先にクルマが何台か通っていたら、こんな状態のままなワケないと思って、もう一度「本当にココなの?」って聞いたら「大丈夫!!」って。で、進んでいったら、本当にオンコースだったんです。ボクは完全にロストしたと諦めていたんですが、ナビのお手柄でした。あれは嬉しかったですね。
そういう意味ですごく気持ちよかった。やっとノーミス、ノートラブルで来れたかな~っと。
一回でもこういう日があれば十分でしょう!
Co-Driver's Voice 赤星選手
今日はとても良かったです! 最高でした!! 一ヵ所怪しいところがあったんですが、塙選手に「本当にココで合ってる?」って聞かれて、「こっちです!!」で言って見事正解! コマ図と合っていたから自信があったんです。ここ数日間で学習したというか、迷う時は地元のチームだろうが、ベテランだろうが皆迷うんですよね。それがAXCRなんです。だから、自分を信じなきゃと思って。
塙選手に何度か確認されたけど「大丈夫! 合ってます!!」ってナビして・・・。SSスタート直後からとてもマッディだったから、今日のスタート順は良かったです。もし10番手以降でスタートしていたら、路面が荒れて苦戦していたんじゃないかなと思います。
塙選手も私もお互い気持ちよくラリーを楽しめた一日でした。
今日が一番気持ちよかったですね!
Service
・洗車
・車内清掃
・ウォッシャー液補充&ウインドウ撥水処理
・インカム電池交換
・足回り増し締め
Provisional Result LEG5
総合(AUTO) 3位
T1Gクラス 1位
Provisional Overall LEG1-5
総合(AUTO) 8位
T1Gクラス 2位
プレーは歴史ある寺院が点在するタイ北部の隠れた観光名所
プレーの旧市街地をクルマで走っていると5分圏内にいくつもの寺院を発見することができた。人々が生活する市街地の中に歴史ある建造物が溢れていて、どの通りを走ってもフォトジェニックな雰囲気だった。バンコクからのアクセスは決して良いとは言えないが、タイの都会とは違った風情のある雰囲気を楽しみたい観光客にもにおすすめしたい街だ。