2016/07/26 | Tweet |
NEWS RELEASE ニュースリリース
高性能なサスペンションが勝敗のカギ
アジアクロスカントリーラリー2016(以下、AXCR2016)に挑むTEAM JAOS ハイラックス REVOには、過酷なラリーを安全に走破するために数多くのモディファイや工夫が施されています。そのハイライトとなるのがサスペンションです。昨年(AXCR2015)はBATTLEZ(ジャオスのチューニングパーツブランド)サスペンションのフラッグシップモデル「BATTLEZ×SUS VF-R」シリーズをFJクルーザーで実践テストをするという目的がありましたが、ハイラックス REVOは日本では販売されていない車両のため、BATTLEZのサスペンションは存在せず、ゼロから造らなければなりません。特に激しいオフロード走行を長時間に渡って走行するラリーレイドではショックアブソーバー(以下、ダンパー)にかかる負担は多く、高性能ダンパーが必要不可欠であり、サスペンションの完成度が勝敗を分けると言っても過言ではありません。
AXCRに参戦している他チームの車両を見ると海外ブランド(日本ブランド以外)の高性能ダンパーを装着しているケースが多いことが分かります。しかしTEAM JAOSはBATTLEZダンパーのサプライヤーであるKYB製にこだわり、オーダーメイドでハイラックス REVO用の高性能ダンパーを造ることにしました。
ダンパーを設計するのはAXCR2015を共にしたエンジニア
昨年(AXCR2015)、TEAM JAOSのメカニックとして同行したKYB・田中氏は自動車用ダンパーの設計部に所属するエンジニアで、BATTLEZダンパーの設計も担当しています。また、過去には他の国際ラリーにも同行した経験も持っており、レースの現場を知り尽くしているスペシャリストです。そんな田中氏が今回のハイラックス REVOに搭載するダンパーを設計しました。
KYBがこれまでのラリーやレース活動で得たノウハウを盛り込んだ高性能ダンパーをベースにハイラックス REVOがAXCRを安心して走破できるように専用設計したものとなりますが、その内容は多岐にわたります。
一番の特長はφ46の大型ピストンを採用したことにあります。さらにセカンダリーピストンを追加し、AXCRに最適な減衰力特性が出るバルブを構築。TEAM JAOSのハイラックス REVO用にチューニングを施しました。またロッドサイズもφ16とし、特注の高強度鋼材を用いて十分な材料強度と剛性を確保。それに伴いアウターサイズもアップしています。また、昨年のFJクルーザー用には無かった伸側の減衰力調整機能を追加。これにより、さまざまな路面状況に対してシビアなセッティングが可能となります。
リヤは荷台をキャンセルしたことにより、レイアウトに自由が生まれたため295㎜のロングストローク設計としました。ダンパーが長くなることによってオイル量も増えて熱ダレ防止にも貢献しています。なおダンパーの取付はフロント・リア共に強固な高荷重タイプのピロボールを選択し、フロントのアッパーマウントはJAOS製(ワンオフ)を採用。昨年に引き続き、設計を担当したKYB・田中氏もメカニックとしてラリーに同行してチームをサポートします。
KYB製 BATTLEZ × DP VF-R (AXCR2016仕様) | ||
---|---|---|
フロント | リヤ | |
ピストンサイズ | φ46 | φ46 |
ロッドサイズ | φ16 特注の高強度鋼材 | φ16 特注の高強度鋼材 |
アウターサイズ | φ51 | φ51 |
ストローク | 150mm | 295mm |
車高調整 | ネジ式 | なし |
リザーバタンク |
ホース式別タンク |
別タンク
|
減衰力調整 |
伸側:40段 |
伸側:32段 |
ロアブッシュ | ピロボール | ピロボール |
アッパーマウント | ピロボール | ピロボール |
高性能ダンパーに組み合わせるのは新開発リーフスプリング
ハイラックス REVOにはフロントにコイルスプリング、リヤにリーフスプリングが採用されています。フロントはFJクルーザーと同形状だったため市販のBATTLEZ×COIL Ti-W(ニッパツ製)を採用しました。また、リヤのリーフスプリングに関しては株式会社スミハツとタッグを組み、ジャオスで初めてリーフスプリングの開発行いました。モディファイによる重量変化に合わせて調整し、柔軟性のあるスプリングに仕上げています。これらのスプリングをKYB製のスペシャルダンパーに組み合わせてAXCR 2016にチャレンジします。このたびAXCR2016を走るハイラックス REVOのためにサスペンションを専用開発したことはジャオスにとって新たなチャレンジであり、ここで得たノウハウは今後のサスペンション開発や海外市場をメインとしたプレミアムダンパーの開発に直結すると確信しています。