樹脂製品(エアロなど)の表面処理(塗装/未塗装・素地)について
2020.12.11
最近、お問い合わせが増えているように感じる
エアロなど樹脂製品の表面処理について少しお話しさせていただきます。
商用車のバンパーなどでおなじみの素地(未塗装)パーツですが
近年ではSUVなどがバンパーやフェンダーをあえての素地仕様として
ワイルドなイメージを演出しています。
そんなことが影響しているかどうかはわかりませんが
ジャオスの樹脂製品について
「自分のクルマは白なので、白ゲル(ゲルコート)のまま装着しようと思うのですが…」
「黒ゲルなら未塗装のまま装着してもおかしくないですよね…」
的なご質問をいただくことが増えました。
そこで…まずはお伝えいたしますが
FRPのゲルコートは塗装ではありません
FRPに限らずジャオスの樹脂製品は未塗装のままでは装着できません。
※物理的な装着はできますがお勧めしませんという意味です。
※「塗装済」としている商品は除きます。
それではなぜお勧めしないか…をご説明します。
●美観の問題
ジャオス製の樹脂製品と言えば、主にFRP・ウレタン・ABSという素材を使用していますが
どの製品も塗装を前提としているので「整える」以上の表面仕上げは施していません。
こちら未塗装状態のジムニー用グリル(FRP/黒ゲルコート)
うっすらと色むらがあるのがお分かりになるでしょうか。
もちろん触れてもわからない(塗装すればわからなくなる)単なる色むらです。
こちら未塗装状態のデリカD:5用グリル(FRP/黒ゲルコート)
サンドペーパーで表面を整えた後が分かります。
ご存知の通り、FRP製品は雌型に樹脂を塗り込んで成形します。
つまり製品の表面が型に当たっているので、どうしても擦り傷などがついてしまうのです。
そこで、型から外した後にサンドペーパーなどで表面を整える必要があるのです。
また、ウレタン製品も、その製法上にて気泡が入ってしまう場合があり
パテやサンドペーパーで表面を整える必要があります。
こちら未塗装状態のラングラー用スポーツカウル(FRP/白ゲルコート)
サンドペーパーで整えた接合部分が見えています。
型で成形する製品は基本的に全て「一方向に向いた山型」でなければなりません。
そうでないと型から抜けませんので(^_^;
ただ、デザインや必要要件上、そうも言ってられない場合は
別の型で抜いたピースを接着し、表面を磨いて段差をなくします。
それが上記の状態です。
雌型を使用しないABS/真空成形の場合は、もう少し良い面の状態ですが
それでも接着をしたり表面を整えるためにサンドペーパーは使用するので基本的には同じです。
そんなわけで
美観という意味だけでも未塗装製品の装着はお勧めできないのですが
実は塗装にはもっと重要な意味があります
●耐候性の問題
自動車用外装品の塗装には美観以上に重要な役割があります。
それが耐候性の確保です。
表面未処理の樹脂製品に耐候性はあまり期待できません。
紫外線や風雨によって劣化が始まります。
そこで、美観を整えると共に製品の表面保護に役立つのが塗装なのです
前述のように商用車のバンパーやSUVのフェンダーなどの中には
塗装されていない「素地」や「材着」といわれているものがありますが
▲ジムニー用純正素地バンパー
アフターパーツと純正量産品とは成形方法も使用している材質も異なるので未塗装のままでも大丈夫なのです。
(それでも年月が経ち白く劣化している物をご覧になったことがあるかと思います)
そこで、ジャオスでは
「未塗装品」をご購入の場合はご自身(手配による塗装店)での塗装
または
「塗装済品」のご購入をお勧めしているのです。
ちなみに…
ジムニーやデリカD:5用パーツを中心にバリエーションを広げている
「マットブラック塗装品」は素地の純正バンパーやフェンダーに合わせた(模した)塗装品です。
▲オーバーフェンダーは純正素地品、バンパー(JAOSスポーツカウル)がマットブラック塗装品
こちら、
アップでご覧いただくと…
質感(シボ感)が若干異なっているのがお分かりいただけるかと
で
お客様の中にはこの「素地に似せた塗装」状態を「未塗装」と勘違いされ
「未塗装で大丈夫」と未塗装品をオーダーをされる場合があるのですが
ジャオスのデモカーに装着されているパーツは全て「塗装品」で「未塗装品」ではありません。
また、前述の通り「未塗装」のままでのご使用はお勧めしません。
もちろん未塗装品装着による劣化などクレームはお受けできません。
…余談ですが
マットブラック塗装品は素地のように見えても塗装品です。
素地品(未塗装樹脂品)用のコート剤などは絶対使用しないでください。
シミやムラの原因になってしまいます。
少々ややこしい話で恐縮ですが
せっかくご購入される外装パーツです。
きっちり塗装で仕上げたボディ同色のモノカラースタイルや
マットブラック塗装済品でのワイルドスタイルなど
お好みのカラーリングをぜひお楽しみください。
製品のこと