サスペンションによる車両の前後姿勢調整について
2022.07.25
ラゲッジや荷台にたくさんの荷物を積み込んでアウトバックをひたすら走り続ける…そんな使われ方が本来の姿である大型4WD。
日本ではなかなか遭遇しないシチュエーションですが、そのヘヴィーデューティー感がまた魅力なのもご存知の通りです。
そこで、特にラダーフレームを有するような大型4WDはたくさんの荷重によって尻下がりにならないよう、空荷では若干の尻上がりスタイルになっています。
ところが、それほどの積載は行わないので、基本的にはずっと尻上がりのまま過ごすのが一般ユーザーが所有する大型4WDの実際の姿でもあります。
ちなみに…ハイラックスの最大積載量は500kgですからなかなか使い切らないですよね笑
そこで、特に尻上がり傾向の強い(ボディデザインがウエッジシェイプなのでよりそう見えやすい)ハイラックスは、リフトアップをする際にフロントを多め(もしくはリヤを少なめ)にして水平に近づけるカスタマイズが好まれており、弊社のBATTLEZリフトアップセットでもおおむねその傾向でセッティングしています。
■BATTLEZリフトアップセットVFA ver.A (フロントリフトアップコイルと前後ダンパーセット)
リフト量:フロント30~40mm リヤ0
■BATTLEZリフトアップセットVFA ver.B(フロントリフトアップコイルとリヤブロック、そして前後ダンパーセット)
リフト量:フロント30~40mm リヤ30mm
これらは純正形状タイプのコイル&ダンパー(VFA)なので、どちらかだけでも純正と交換装着可能です。
※リフト量が〇~〇mmとなっているのは年式や個体差によって前後するためです
さらにフロントの車高を任意で設定できる車高調タイプ(VFCA)もご用意しています。
■BATTLEZリフトアップセットVFCA ver.C (フロント車高調整ダンパー&専用コイル、そしてリヤリーフとダンパーセット)
リフト量:フロント20~50mm リヤ40~50mm
で、今回はそのVFCA(車高調)タイプ、そして前あげスタイルについてお話ししたいと思います。
(毎度前置きが長くてすみません…)
冒頭で「フロントを上げて車体を水平に近づける」カスタムが好まれていると書きましたが、何事も「いい塩梅」が肝要です。
車両の前後姿勢の変化に伴うスタイリングは好みの範囲ですが、それはハンドリングにも大きく影響を及ぼすからです。
大雑把に言うと
フロントを上げると前輪荷重が減るので「アンダー(曲がりにくい)」
フロントを下げると後輪荷重が減るので「オーバー(滑りやすい)」
…になります。
もちろん、挙動のシビアなスポーツカーと違って、4WDは乗車&積載によって大きく前後姿勢がかわるのが日常ですから、多少は変化させても極端にハンドリングが変わるような設計はされていません。
しかし、サスペンションの開発テスト過程で、試しにフロントを極端に上げてみると上り坂+きついコーナーでフロントからグリップが逃げていく様子は実感できます。
そこで弊社のBATTLEZサスペンションは、前後のリフト量差を最大でも50mm程度に収めているのです。
ところが
前後のリフト量差50mmではまだ "足りない(?)" ということで、車高調ダンパーの余分なねじ山を使って弊社の推奨値を越えてフロントを上げているユーザーがたまにいらっしゃるようです。
ダンパーのボディには製造や組み立ての都合で推奨値を越えるねじ山も切られていますが、取扱説明書で装着寸法は指定してあるので通常それを越えて装着することはない…ハズです…
ちなみに
USピックアップにてフロントを上げた「テイクオフスタイル」というカスタムもありますが、それは、「大きなギャップにフロントをひっかけない」とか「ジャンプからの着地の際に前転しないように」などの理由から、オフロードマシンに与えられたサスペンションセッティングというか車体構成なので、そもそもそれを目標にしていないBATTLEZリフトアップセットで再現するには無理があります。
なにはともあれ
車高調の推奨値以上のねじ山使用(リフトアップ)は、上記したハンドリングの変化に加え、ドライブシャフトブーツの早期劣化やダンパー本体の損傷原因はもちろん、リフトアップの程度によっては灯火関連の法規に抵触する場合もありますのでお勧めしません。
自動車パーツ…特にサスペンションは安全にかかわる重要パーツなので、ぜひ推奨限度内でのご使用をお願いします。
走行性能を第一に煮詰め上げたレイドマシンでも極端なフロント上げはしていません。
それが答えだと思っていただけると理解していただきやすいかも…です。
そして…
お問い合わせの多いハイラックス用サスペンションについて
弊社開発部兼TEAM JAOSドライバーの能戸がご説明差し上げている動画を作成しました
よろしかったらご覧ください
■ハイラックス用サスペンション特性別ガイド
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